ボードゲームのメカニクス一覧解説 C~E
おはこんばんにちは。ヨシュアです。
本記事はその解説第二弾です。
参考サイトは最下部へ
ボードゲーム作成を目指しているが、その過程で既存ゲームの分析をする方の参考になれば幸いです。
- そもそもメカニクスとは?
- C
- Campaign / Battle Card Driven (キャンペーン / カードドリブン)
- Card Draft (カードドラフト)
- Card Play Conflict Resolution (同時解決カードプレイ)
- Catch the Leader (トッププレイヤー捕捉)
- Chaining (チェーン構築)
- Chit-Pull System (チットプルシステム)
- Closed Economy Auction (閉経済オークション)
- Command Cards (カードコマンド)
- Commodity Speculation (商品投機)
- Communication Limits (意思疎通制限)
- Connections (コネクション)
- Constrained Bidding (拘束付き入札)
- Contracts (契約)
- Cooperative Game (協力ゲーム)
- Crayon Rail System (クレヨン線路)
- Critical Hits and Failure (クリティカル制)
- Cube Tower (キューブタワー)
- D
- E
そもそもメカニクスとは?
日本語ではメカニズムとも呼ばれる。基は機械工学や構造、機構という意味であり、ボードゲームに当てはめるならば”からくり”と訳すのがフィットします。
例えばドミニオンのデッキ構築のように、ゲーム性を生み出すしかけのことを呼びます。
言い換えれば面白さを生み出す素となります。ほとんどのゲームはメカニクス、もしくはそれの変形を組み合わせればルールとなります。
一方を取ると、もう一方が取れなくなるジレンマを生み出すものも多い。
用語については、適当な単語があれば、日本語を使いますが、なければ原語表記し、括弧でオリジナル和訳を当てはめます。
※注
BGG定義上、メカニクスの上位関係や集合関係が統一されていません。
アルファベット順になっているので、内容に集合性はございません。
例となるゲームは私個人の感覚であてはまりそうで(日本国内で)有名そうなのをピックアップしてます。
C
Campaign / Battle Card Driven (キャンペーン / カードドリブン)
比較的最近のウォーゲームではアクションを手札のカードで行使することに重点を置いています。基本的な考えは1つのアクションを行うのに1枚のカードが必要なことです。戦闘の結果をカードを決めるゲームにはこのメカニクスはあてはまりません。
本サイト (BGG)では[Hand Management (手札管理)]メカニクスの下位分類である。
例:「グルームヘイブン」「トワイライト・ストラグル」
未プレイにより解説不可
Card Draft (カードドラフト)
[カードドラフト]ゲームはプレイヤーが限られたサブセットやからカードを選択するゲームです。この限られたサブセットというのは、例えば共通のカードプールです。プレイヤーはいくつかの利益 (即時または長期) を得るために、またはゲームのゴールを満たすために使うカードを組み立てるには、カードを選びます。「サンクトペテルブルク」はよく知られたカードドラフトゲームです。
カードを単に山から引くゲームはカードドラフトではありません。ドラフトとは、プレイヤーがある種の選択肢を持って、他のプレイヤーが欲しいと思うカードをドラフトすることを可能にすることで、他のプレイヤーが欲しかったものを邪魔できることを意味します。例えば、「チケット・トゥ・ライド」では、プレイヤーは公開場からカードを選ぶことができるので、ゲーム中ほとんどのカードがランダムに引かることを置いておいても、ドラフトゲームと考えることができます。
カードドラフトという用語は、プレイヤーがカードの代わりにタイルまたは他の類似のコンポーネントをドラフトするゲームに適用することができる。ここでの「カード」という用語は、ゲームプレイに関連するそれらの情報を含むゲームオブジェクトの集合体を表す。
例:「世界の七不思議」
コメント:ドラフトもより細分化された下位分類があると考える。詳細については別記事で深く掘り下げる必要がある。メカニクス群に[Drafting]という項目もあり、私の定義からの理解とその例が噛み合ってないので、同一とみなしていく。
Card Play Conflict Resolution (同時解決カードプレイ)
各プレイヤーは同時に、もしくは連続して1枚以上のカードをプレイします。これらのカードは紛争の結果を修正し、特殊能力を適用させられる。
例:「ペーパーテイルズ」
配置フェイズで裏向きにカードを伏せ、戦争フェイズ時に公開して隣接プレイヤーとの勝敗を決する部分が本メカニクスに該当。
Catch the Leader (トッププレイヤー捕捉)
下位にいるプレイヤーがアドバンテージを得たり、上位プレイヤーが不利になったりするメカニクス。
例:「クアックサルバー」
ねずみのしっぽルールが本メカニクスに該当。得点トラックで遅れてるプレイヤーがその間にあるしっぽの数だけ、自分のプレイにメリットが生じる。
Chaining (チェーン構築)
駒自体は動かないが、チェーンを構築してゲームに動的な影響を与えるメカニクス。
例:「キングダムビルダー」
未プレイかつ[ネットワークビルディング]との違いを理解してないので、解説不可
Chit-Pull System (チットプルシステム)
ウォーゲームにおいて、戦場で行動を同時にシミュレートする問題と「コマンドとコントロール」の問題に対処するために使用されるメカニクス。
このようなシステムでは、現在のプレイヤーはランダムに、移動する可能性のあるユニットのグループを識別するチップまたはカウンターを引きます。スキームには、特定のリーダーが指揮するユニットを移動させたり、特定の品質のユニットを移動させたり、移動のためではなく戦闘のためにユニットを起動させたりすることが含まれる。
例:「Battle Masters」(日本語版例なし)
未プレイにより解説不可
コメント:全然わからん。ウォーゲームで使用されるメカニクスには特に造詣が浅い。
Closed Economy Auction (閉経済オークション)
閉経済オークションはあらゆるオークションメカニクスの変形メカニクスです。オークションで使われたお金はすべて参加者に支払われ、ゲーム内でお金の総額は変化することはありません。
例:「ラー」
このゲームにおいてやり取りする通貨は1から13の太陽チップであり、賭けにおいて、自分が太陽チップを出して、レイズする場合、元々場に出てた太陽チップを引き取るので、チップはプレイヤー間を移動するのみで、失ったり、追加されたりしない。
コメント:零和有限確定完全情報ゲームという用語から引用すれば通貨における零和であるオークション
Command Cards (カードコマンド)
プレイヤーは手札のカードを使って、ユニットに対してアクションを行う。
例:「Memoir' 44」(日本語版例なし)
未プレイにより解説不可
コメント:ウォーゲームに使われるメカニクスの名称だが、実際には同値なメカニクスが他にあるはず。
Commodity Speculation (商品投機)
[商品投機]は[賭けとブラフ]の下位分類で、ゲームが進むにつれて特定の商品の価値が最も高くなることを期待して、ゲーム内のお金を様々な商品に賭けるメカニクス。大抵、商品価値はゲーム中上下し、プレイヤーは商品を売買して投資から利益を得ます。
[商品投機]は投資ゲームでもあり共謀ゲームでもあります。プレイヤーが間接的なコントロールを持っていて、自分に損がないようにしつつ、他人に損をさせる点で投資ゲームである。プレイヤーが商品の値をコントロールするために他者を助けることで、事実上の同盟が発生することがある点で共謀ゲームである。
例:「モダンアート」
オークションにかけられた絵画タイプの数によって、その絵画の価値が決まる点が本メカニクスに該当する。
Communication Limits (意思疎通制限)
プレイヤーがお互いにオープンなコミュニケーションをとることを制限されるメカニクス。このような制限は、特定の情報の断片に関連するように絶対的なものであってもよいし、会話のような特定の種類のコミュニケーションを制限するものであってもよい。
例:「ディクシット」「花火」
「ディクシット」は会話が可能だが、出題側も全員に当てられないようにしなければならないので、断片情報を隠しながらの会話になる。「花火」は会話自体は制限されてないが、自分の所持手札を相手に教えてもらうと、ペナルティがかかる。
Connections (コネクション)
プレイヤーがボード上の異なる点を結ぶメカニクス。[ネットワークビルディング]と関連しているが、こちらのほうがより上位カテゴリである。
例:「チケットトゥライド」
列車カードを使って線路をつないでいく点が該当する。
Constrained Bidding (拘束付き入札)
他のオークションメカニクスの変化型であるメタメカニクスである。プレイヤーは望む数字の入札をすることができない。固定のリソースを組み合わせた値でしか入札できない。
例えば「ラー」ではプレイヤーは3つの入札タイルの内一つだけを使って入札する。また、「ハイソサエティ」は入札するには手札のマネーカードを出していくが、すでに入札額として出した組み合わせを変えることはできない。
例:「ラー」「ハイソサエティ」
上記の通り
Contracts (契約)
プレイヤーは契約を結び報酬を得ることができるメカニクス。さらに公開契約と非公開契約にわけられ、公開契約はすべてのプレイヤーが最初に契約を結ぶことを競う契約で、非公開契約は自分のみ完了することができる契約である。
例:「宝石の煌めき」「ワイナリーの四季」
宝石の煌めきでは宝石カードが一定の数に達したプレイヤーは貴族カードを得られる。これは公開契約である。
ワイナリーの四季では出荷カードの条件を満たして、カードを使うことでそれに応じた報酬を得られる。これが非公開契約である。
コメント:ワイナリーの該当部分がそこかどうかは自信がない。サイズの目的カードや星獲得など多くのゲームにおけるミッションが該当すると思ったが、意外にもContractsをメカニクスに持つゲームは少ない。ポイントはそれを獲得することがゲームの結果(得点等)にダイレクトに影響するものかどうかか?
Cooperative Game (協力ゲーム)
プレイヤーは共通の勝利条件や条件を達成するために行動をすりあわせるメカニクス。プレイヤー全員が勝つか、全員が負けるかのゲームである。
例:「パンデミック」
言わずもがな
コメント:BGGのゲーム例では協力ではなく、同一の目的のために協調するゲーム(半協力ゲーム)もこのメカニクスのゲーム例に含まれる(「Nemesis」など)が、個人的には別のメカニクスとして分類したい。なぜならゲーム目標が同一かそうではないかによってゴールへの道筋は全く異なり、お互いの思惑を読むという協力ゲームにはない面白さが生じるからである。
Crayon Rail System (クレヨン線路)
クレヨン線路は[ネットワークビルディング]の下位分類である。いわゆるクレヨンのような、消去可能もしくは非永続的な方法、を用いて線を引くメカニクス。
例:「エンパイアビルダー」
未プレイにより解説不可
Critical Hits and Failure (クリティカル制)
サイコロが振られ、目標数を超えたものが成功判定となるメカニクス。特定のロール(ダイスの最高値または最低値が一般的)は、追加の成功判定または極端な失敗判定を表す。
例:「ドラスレ(BGGのゲーム例に非記載)」
コメント:戦闘判定が当メカニクス。6を出すと成功判定に加え、その数だけ追加でダイスを振ることができる。
Cube Tower (キューブタワー)
様々な色のキューブをタワー内に落とし、底から出てきたキューブによりアクションが決定するメカニクス。出てこないキューブは次回以降に出てきて、アクションの決定に用いられる。
エルグランデのタワーとは別のメカニクスであることに留意。
例:「将軍」
未プレイにより解説不可
D
Deck Construction (構築済みデッキ)
ゲームの最初の段階またはゲーム前にプレイヤーが使用するデッキを作成するメカニクスである。
例:「Magic: The Gathering」「アンドロイドネットランナー(BGGのゲーム例に非記載)」
ゲーム前に個々のプレイヤーが独自のデッキを組む
コメント:下記[デッキビルディング]とはゲーム内にデッキを作るのか、ゲーム前にデッキを作るのが大きな違いである。
LCG (Living Card Game)と呼ばれるゲーム群はここに含まれるがBGG上に記載にない
Deck, Bag, and Pool Building (デッキビルディング、バッグビルディング、プールビルディング)
プレイヤーは個々のデッキからカードを出し、新しいカードの獲得を目指して反復してプレイするメカニクス。カードの獲得により、デッキの強化をしていく。
この説明はデッキビルディングだが、同一カテゴリにはバックビルディング、プールビルディング、及び関連するメカニクスが含まれる。
例:「ドミニオン」、「オルレアン」
ドミニオンは言わずもがなデッキビルディングそのものなので説明不要。
オルレアンはバックビルディングの代表作だが、未プレイにより解説不可
コメント:デッキビルディングとバッグビルディングはランダムな集合を作成していき、その集合から一定数ランダムに選び、その組み合わせにより、ゲームが変わる点で一致している。二者の一致点と相違点は別記事で深く掘り下げる必要がある。
Deduction (推論)
プレイヤーは手がかりに基づいて隠された情報の正体を判断するメカニクス。
例:「クルー」「ディセプション」
未プレイにより解説不可
Delayed Purchase (遅延強化)
購入したアイテムはすぐにプレイ可能になるのではなく、未来に利用可能となるメカニクス。
例:「ドミニオン」
購入したカードは捨札置き場に置かれ、次回のデッキリシャッフルまでプレイ可能にならない。
Dice Rolling (ダイスロール)
ゲームメカニクスとしてのダイスロールはゲームの中で多用されているが、最も明白なのはランダム性である。
ダイスはカウンターとしても使用可能である。6から始めてラウンドの終わりに5にしてプレイヤーのターン数を表したりします。サイコロ自体にもいろいろあり、大きさや形や色を変えて様々なものを表現可能である。
ウォーゲームではサイコロは様々な表と組み合わせて使用される。特に双方の強さによって結果を出す戦闘結果表(比率または差分)やダイスロール(1D6, 2D6, 1D10が最も一般的)があります。
例:「ブルゴーニュ」
コメント:ダイスを転がすだけではなく、回転させることも[ダイスロール]に含まれる。ダイスを転がすことはランダムな結果の出力をプレイヤー全員が注視することで一体感を生むメカニクスである。これはランダマイザーとして非常に有用である。同様の楽しさは共通の山札からカードをめくることにも当てはまる。
Die Icon Resolution (ダイスアイコン解決)
プレイヤーはいくつかのダイスを振り、目的のアイコンが表示されてるダイスが成功判定となるメカニクス。
例:「Star Wars: Imperial Assault」(日本語版例なし)
未プレイにより解説不可
Different Dice Movement (異ダイス移動)
ユニットやゲームの状態に応じて異なるダイスを用いて移動します。
例:「Formula D」(日本語版例なし)
未プレイにより解説不可
Drafting (ドラフト)
ドラフトとはカードやその他のゲーム要素を順番に選択してプレイヤーに分配する手段である。
典型的な実装としては、各プレイヤーに同数のカードを配り、プレイヤーはその中から1枚のカードを選び、残りのカードを左手のプレイヤーに渡す。これをすべてのカードが取られるまで繰り返す。「世界の七不思議」はこのタイプのドラフトを実装しています。
別の方法としては一人のプレイヤーにのみカードを配り、その中から1枚選んだ後横のプレイヤーに渡し、すべてのプレイヤーがカードを手にするまでパスするという方法があります。これは明らかに最初のプレイヤーが強くなるので、テーマ的にもバランス的にも補助する必要があります。「あやつり人形」はこのタイプのドラフトを実装しています。
もう一つのタイプはオープンドラフトで、すべての選択肢がプレイヤーに示され、プレイヤーが交代で選択します。これはアクション選択やワーカープレイスメントと同族です。
例:「世界の七不思議」、「あやつり人形」
コメント:ドラフトは奥が深く、定義の例以外にも様々あるので、個別記事で深堀り予定。またワーカープレイスメントやアクション選択は明らかにドラフトの下位分類であり、ドラフトではなくカードドラフトと同層にあると考えられる。
E
Elapsed Real Time Ending (実時間経過終了)
ゲームは設定された実際の時間が経過すると終了します。
これは、Space Alertのようにサウンドトラックによって仲介されることもあれば、Escape from Colditzのように単に時計上の経過時間であることもあります。
例:「マジックメイズ」(日本語版例なし)
未プレイにより解説不可
Enclosure (囲み)
エリアエンクロージャーゲームではプレイヤーは駒を配置したり、移動したりし、その駒でできるだけ多くの領域を囲みます。最も古く有名なゲームは「囲碁」ですが、近代的なゲームも多く存在します。
[囲み]ゲームが[エリアマジョリティ]と異なる点は、プレイヤーが盤上にエリアを作るのが[囲み]なのに対し、[エリアマジョリティ]は実際のエリアがすでに存在し、プレイヤーは誰が最も多くのエリアをコントロールできるか競い合うゲームです。
例:「アグリコラ」
未プレイにより解説不可
End Games Bonuses (終了時ボーナス)
プレイヤーはゲーム終了時にVPを得るメカニクス。
例:「テラフォーミングマーズ」
褒章などが該当
コメント:ゲーム終了時に解決する点数があると、ゲーム中に勝敗の見通しが悪くなるので、下位プレイヤーのやる気が削がれずに済む。
Events (イベント)
プレイヤーのコントロール外で発生したアクションが、即時にゲームの状態を変化させたり、後続のアクションに影響を与えたりするメカニクス。
例:「スピリットアイランド」
侵略者フェイズにおいて侵略者が行うアクション(略奪、建設、探索)が該当する。これらは初期山札の時点で決定しており、プレイヤーの関与が不可能である。
つづく・・・
boardgame-music.hatenablog.com
boardgame-music.hatenablog.com
メカニクス定義ソース
メジャーな分類の日本語説明
一部メカニクス分類定義の翻訳記事