"Pendulum" Design Diary和訳その2
おはこんばんにちは。ヨシュアです。
PendulumのDesign Diary次の分和訳していきたいと思います。
その1
boardgame-music.hatenablog.com
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2020/7/2 時の砂
それでは、隠してもしょうがない話をしましょうか。
そうなんです。このゲームには砂時計が含まれてます。
3つある砂時計はPanda Game Manufacturingにより製造され、それぞれ45秒、2分、3分を刻みます。
私がPendulumについて最初にDesign Dayの参加者から聞いたとき、”リアルタイム”という要素に対して、奇妙と感じたとともに、気後れしました。
この読者が”リアルタイム”という単語を聞いたとき、仮に私と似ていたとしたら、砂時計が時を刻むにつれて、焦って、慌ただしくて、ストレスフルな時間を迎えると想像するでしょう。普通はこうして”時間”と戦う羽目になるのですが、Pendulumではそうはなりません。
より正確に言うならば、Pendulumは同時プレイを備えた、”ターンレス・ワーカープレイスメント”と言えます。プレイヤーはワーカープレイスメントにおける、コストと利益のバランスに重きを置くことになります。例えば、ワーカーがしばらく帰ってこないが、利益の大きいところかワーカーはすぐに帰ってくるが、利益がそれほど大きくないところなど。
だからこそ私はお気に入りのゲームであるツォルキンと比較してきたのです。*1
ゲームデザイナーであるTravis Jonesにバトンパスする前に、いくつか情報を箇条書きで書き出していきます。Travisはどうしてこのアイデアを思いついたか、そしてどうやってそのアイデアをゲームに起こしたのか説明していただくでしょう。
・砂時計はそれぞれのラウンドで使われます。それぞれのラウンドで6分程度しか使いませんので、定期的に休みが入ります。
・プレイヤーは砂時計が時を刻んでるときにのみコントロールします。*2なので、もし砂時計をスタートさせる準備ができていなかったら、全員が準備できるようになるまで待てます。
・もし、プレイヤーが中断させたい場合、砂時計を横に倒して止めることができます。
・砂時計は時々数秒止まってしますことがありますが、このゲームではプレイヤー全員に均等に影響を与えます。(それぞれのプレイヤーが自分の砂時計を持っているわけではありません。)
・このゲームにはヴァリアント*3が含まれていて、砂時計を使わずに他のメカニズムだけでも楽しめるようになっています。
それでは残りはTravisに語ってもらいましょう。(以下主語はTravis)
私は今でもPendulumの構想が浮かんだ時のことを覚えています。それはある日友達とゲームをプレイした後でした。その時は、重いストラテジーゲームを2,3個やって、Ora & Laboraという長いゲームで一日を終えました。そのときはパーティーでしたが、'AP' (Analysis Paralysis)が得意でない友達と一緒に数時間かけてプレイしました。'AP'という言葉に馴染みがない人に説明すると、'AP'とは、プレイヤーが「非常に」長い時間をかけてそのターンにする行動を決めることを言います。
正直に明かすと、これを持ち出したことを、非常に後悔しました。他プレイヤーのターンを待たずに深いストラテジーゲームを遊べないか思考を巡らせながら、ベッドに向かいました。
次の日の朝あるひらめきをしました。こうしたストラテジーゲームはリアルタイムで遊んだ方がいいに決まっている、と。多分この日は一晩中頭は働いてたと思います。数回だけ、リアルタイムで遊ぶゲームをプレイしたことはありますが、どれも'戦略的'だと思うゲームではありませんでした。(もちろん、確実に面白いし、エキサイティングですが。)時を刻んで0に近づいていくような時は戦略的な決定というものをどんどん排除していくように思えます。
朝に見つけたこの発見は、制限時間をプレイヤーに設けるよりも、純粋にアクションを取る際の共通のメカニズムとして使ったほうがいいということです。
まず、3つの異なるアクションスペースに異なる時間の砂時計があります。この時間でプレイヤーはどんなアクションをワーカーにさせるか、そしてそのワーカーをどれくらい置いとくかということを選べます。
これらの選択はプレイヤーが好きなだけ時間を使って、考えたりプランを立てたりできるので、ゆっくりプレイしたい人も責められずにそうプレイできます。時間とはゲーム内のリソースとしてのみ用いられているだけではなく、プレイヤーに合っているかということを確認するのにも使えます。
始めから思いついていたキーとなるアイデアは鏡像に写ったアクションスペースを設けることです。プレイヤーは砂時計をひっくり返して、ある列から他の列に移します。そうすることで、ワーカーは自由の身となり、他のアクションを取ることができるようになります。
すべてのプレイヤーが自分の行動の一部として、自然に砂時計をひっくり返す動機をつくることで、砂時計はプレイヤー自身を規制し、最後の数秒で、相手に'ストップ!'という必要がなくなります。
こうすることで、時間というものの感じ方変わります。先に向かうために使うものというよりかは、他プレイヤーと協力して使う資源でありながら、時間をどう配分するか、そしてトレードオフを生み出すものになります。
つまり、できるだけ早くプレイすることだけを目的にしたリアルタイムゲームではないと示してます。その代わりに、賢く時間を使うことがポイントのゲームになってます。素早い決定がいいこともあれば、じっくり時間をかけたほうがいい時もあります。このゲームには押さないといけないブザーはありません。*4
このゲームの難しいところは一手番に深く考える価値のある時と、そうでない時を見極めるところになります。このゲームのアイデアは裏でこういったところを突いてます。つまり、「人はどうやって、自分がどうやって決めるか、を決めるか」ということです。読者が直感もしくは完璧な分析で決断を出せたとき、こうした問いがあります。「あなたはどうやって、その選択を決めたのか?」、「より良い選択をするにはどうすればいいのか?」
これらは実際には完全に学問的な分野に入っていて、'決断科学'と呼ばれています。(決断科学は非常に興味深い学問になり得るもので、よりよい初学のために、Malcom GladwellによるBlink: The Power of Thinking Without Thinking (2005)をかなりおすすめします。)
この分野はボードゲームをやっていれば出会うことがあります。例えば、Galaxy Trackerというゲームでは、プレイヤーが決断することやプランをたてることに費やす時間に価値を置いてますが、できるだけ速く進むことが常に最適な選択だとは限らないことです。
それにも関わらず、この分野はまだ十分に探求されていない領域だと思うので、Pendulumがこの分野を少しでも開拓していければと思います。
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Travisの文章訳しづらいわ・・・難しすぎた。
ゲームシステムも少し明らかになってきて楽しいですね。
時間をなるべくゲームプレイの「制限」として使わずに「リソース」として使うのはかなり難しそうではありますが、未知の世界すぎて、どういうゲームになりそうか全く予想できません。
ゲームの概要についてはこちらへ
boardgame-music.hatenablog.com
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